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月組『ゼンダ城の虜』

<第11回>

▽月組公演 ロマンス『ゼンダ城の虜』
▽宝塚大劇場2000年9月~11月
脚本・演出・・・木村信司
作品紹介・・・原作はアンソニー・ホープにより1894年に書かれた大ロマン小説。仮想の小国ルリタニアを舞台に、国王と瓜二つの容貌を持つ主人公が、政権争いに巻き込まれた王を救い出すまでの波乱万丈の物語。美しい姫とのかりそめの恋、名誉をかけた騎士道を軸に、破天荒な青年伯爵、策略を仕掛ける大公、悪人と知りつつ大公につくす歌姫など・・・多彩な人物が織り成すドラマティック・ストーリー。
作品評★★★★★★★★☆☆
鑑賞日・・・2003年2月2日

木村先生の作品ということで、2001年の東京宝塚劇場のオープニング『愛のソナタ』がイマイチだったので、ビデオにダビングしていながら今日まで眠っていました。しかし、今作は良い意味で期待を裏切ってくれました。

ストーリーは単純明快。ルリタニア王が戴冠式前に王の座を狙う大公達にゼンダ城に幽閉されるが、その戴冠式を見物に来ていた英国貴族ルドルフ・ラッセンディル(真琴つばささん)が王に瓜二つであったことから、王家の忠臣サプト(未沙のえるさん)やフリッツ(初風緑さん)の要請により、王の替え玉として無事戴冠式を終える。そして、騎士的精神の持主である主人公ルドルフが忠臣たちと共に、敵のミカエル大公(汐美真帆さん)とその腹心ヘンツォ伯爵(香寿たつきさん)らを倒し見事王を助け出す。それまでの過程で、王妃となるフラビア姫(檀れいさん)とルドルフの恋が絡むが、役割を果たしたルドルフはその思いを胸にうずめ颯爽と去っていく。
ゼンダ城の虜
木村先生はとにかく「主役のトップ・スターをかっこよく宝塚的に魅せる」ことにこだわる方。だから、この主人公ルドルフにも一点の陰もなく、誇りと名誉にかけて潔い生き方を全うする。そして、真琴つばささんは素でそんな感じの方なのでピッタリ。また、その主人公に仕える形となるルリタニア王の忠臣ぶりも観客を安心させます。対して、ヘンツォ伯爵の香寿たつきさんの悪役ぶりは見事の一言。ルドルフとは好対照の人物像で、作品に分かりやすくメリハリをつけています。全編通して、素直に、非常に気持ちよく観られる作品だと思いました。

マイナス面は、伸び盛りの大和悠河さん・霧矢大夢さん・大空祐飛さんらの役所に個性がなく、娘役も西條三恵さんらが全く目立たないというあたり。主役を立てることも良いですが、もう少し若い人たちにも活躍の場を与えてあげて欲しいですね。逆に、専科の初風緑さんやベテランの立ともみさんなどは上手いし、存在感も抜群。若手も役のせいにせず、我々にインパクトをあたえないといけないともいえるのでしょうね。

甲斐正人氏の音楽は美しく、最初から最後まで調和のとれた仕立てで聴き心地がよかったです。宝塚では聞きなれない名の齋藤浩樹氏の装置も、王宮などはシンプルで生徒たちの動きが映え、盆(回り舞台)を使った城などでの舞台転換もスムースで効果的でした。振付は特筆すべきことはないです。

※併演作品…グランド・ショー『Jazz Mania』 作・演出 三木章雄でした。





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